
で、そこから利益を生むことを実行するというのは、日本では本当に難しいことなんです。 ですから、劇場を持たないフリーのプロデューサー、あるいはフリーの演劇制作集団の人、そういう人たちが何人もいまして、むしろそういう人たちが劇場を持っていて、何かルーチンにやっているプロデューサーよりもおもしろいことを考えるという状況が日本でもようやく出てきておりますので、我々も東京のそういう人と連動して制作を、プロデュースをするというケースがふえてきております。1つの劇場だけで巨額な資金を投入するというのがこのご時世上、非常に難しくなっている現在でございますので、そういうことも考える。あるいは私などが願っておりますのは、これからさらにこういう公的なホールの方々、企画担当の方々と手を組んで、そういう方々に受け皿になっていただいて、何か1つの大きな演劇をプロデュースできないかと思っております。 私ごとになりますけれども、私は平成元年に福岡で開かれましたアジア太平洋博覧会というのがございまして、そこの催事部のヘッドに出向をして、1年半ほど福岡市の方々と仕事をしたことがございます。民間の劇場のプロデューサーとしては、そういうなかなか希有な経験をさせていただいたんですけれども、今後そういう官と民のネットワークといいましょうか、そういうものができればなというふうに考えておりまして、前田さんともそういうことでお近づきになったようなわけでございます。 さてプロデューサーの仕事というのを、大ざっぱに7つのポイントにまとめまして書いたものがこの資料でございます。ポリシーを持つことと言いますと、何か偉そうな言い方になろうかと思いますが、やはりこういう演劇なり、あるいは音楽なり、どんなものでも結構でございますが、観客に提供するそういうエンターテインメント、あるいは実験演劇、前衛演劇、いろいろございますけれども、そういうものを提供するご担当、企画を担当される方が何にも好き嫌いもお好みも、あるいは心構えもなくて、ただ右から左へ情報をそのままステージの上に乗っけられるということはあり得ないと私などは思います。 もちろん、民間の演劇劇場に努めている社員がすべて芝居に対して情熱を持っている、ポリシーを持っている、芝居が好きだ、暇があればどこかの劇場を見に行っているというような人ばかりではございません。逆に一般の会社、銀行の方、そういう分野の方でお好きな方もたくさんいらっしゃろうかと思います。演劇関係者が全部が全部芝居が好きではないと思いますけれども、少なくともプロデューサーを発令されてやらされる限りは、そういうことは許されないわけでございます。やはり商品を生み出す仕事がプロデューサーの最終目標でございますので、その商品の理解、あるいはなぜ今この商品をつくらねばな
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